
世界各地で演奏を続けるオーケストラにも、初めて自分たちの「家」を持つ瞬間があります。英国のアカデミー室内管弦楽団(Academy of St Martin in the Fields/ASMF)が、ロンドンのウォータールーに初の恒久拠点を取得しました。
その場所は、長年にわたり音楽家たちが練習や録音に使ってきた「The Warehouse」。楽団の公式発表によると、演奏活動に加え、若手育成や地域の人々との音楽活動を支える拠点にもなります。
取得したのは、音楽家が使い続けてきたスタジオ
ASMFは、The Warehouseを所有するロンドン・フェスティヴァル管弦楽団(LFO)の買収完了を発表しました。専門媒体Gramilanoは、取引の完了日を2026年10月22日と報じています。
The Warehouseは、LFOの創設者でチェリスト・指揮者のロス・ポープルが1990年代に整備した練習・録音施設です。すでに音楽家たちに利用されてきた場所を引き継ぎ、楽団の活動基盤として育てる計画です。
ジョシュア・ベルも親しんできた場所
音楽監督のジョシュア・ベルも、The WarehouseでASMFと何度もリハーサルをしてきたと述べています。今回の取得は、楽団にとって未知の施設への移転というより、親しんできた場所を恒久的な拠点にする出来事です。
公式発表では、練習や録音を中心に、事務所、楽譜資料、アーカイブなどを一つの建物に集める方針が示されています。演奏会当日の舞台だけでなく、その音楽を準備する時間と場所を確保する点に、この取得の意味があります。
ホームレス状態にある人たちとの音楽活動も
新拠点は、ASMFが進める若手音楽家の育成や、さまざまな団体との協働にも使われます。
さらに、ほかの音楽家や文化団体によるスタジオ利用も継続する方針です。楽団専用の練習場所を確保することと、地域に開かれた音楽の場所を守ること。その両方を目指している点が注目されます。
建物を手に入れた先に、何をつくるのか
ASMFは、取得に必要な資金は確保したとしたうえで、2027年4月までに追加で50万ポンドを募るキャンペーンを開始しています。資金は、新拠点への移行や初期の整備・改善などに充てる計画です。音響改善や、将来的な教育用スペースの整備も構想に含まれています。
世界を巡る楽団の新しい家が、次の音楽家や地域の人々にどんな出会いを生むのか、今後の活動にも注目したいところです。
出来事の日付と出典
取引完了日:2026年10月22日(Gramilanoの報道による)。専門媒体の掲載日:2026年10月23日。確認日:2026年10月26日。


