
メトロポリタン歌劇場で21シーズンにわたり活躍した、アメリカのソプラノ歌手ジュディス・ブレーゲン(Judith Blegen)が亡くなりました。OperaWireは2026年10月24日、85歳での死去を報道。メトロポリタン歌劇場も公式サイトに追悼文を掲載しています。
パヴァロッティと共演した《愛の妙薬》のアディーナ、《薔薇の騎士》のゾフィー。舞台だけでなく、テレビ中継を通じてもその歌と演技を届けた歌手でした。
《魔笛》のパパゲーナから、METを支える歌手へ
メトロポリタン歌劇場の追悼文によると、ブレーゲンの同劇場へのデビューは1970年。モーツァルト《魔笛》のパパゲーナ役でした。その後、同劇場の常連となり、21シーズンにわたって20の役を演じました。OperaWireは、出演回数を計284回と伝えています。
歌劇場の追悼文は、彼女の声を甘く銀色の響きを持つものとして振り返り、舞台上での魅力にも言及しています。役柄を通じて聴衆を引きつけた姿とともに、長年の劇場の仲間として、その人柄も惜しんでいます。
パヴァロッティと共演した《愛の妙薬》
代表的な役の一つが、ドニゼッティ《愛の妙薬》のアディーナです。ブレーゲンは、ネモリーノを歌うルチアーノ・パヴァロッティと4シーズンにわたってこの作品で共演。1981年には、二人の舞台がテレビでも放送されました。
《愛の妙薬》では、ネモリーノのアリア「人知れぬ涙」がとりわけ有名です。その一方で、物語を動かすアディーナの歌と演技も、作品の魅力を支えています。有名なテノールの共演者という入口から、ブレーゲン自身の表現にも耳を傾けたいところです。
最も多く歌った役は《薔薇の騎士》のゾフィー
METでブレーゲンが最も多く演じたのは、リヒャルト・シュトラウス《薔薇の騎士》のゾフィーでした。出演は37回。1982年には、この役での舞台もテレビ放送されています。
ほかにも《フィガロの結婚》のスザンナ、《リゴレット》のジルダ、《ヘンゼルとグレーテル》のグレーテル、《ペレアスとメリザンド》のメリザンドなどを担当。モーツァルト、イタリア・オペラ、ドイツ語やフランス語の作品へと広がる役柄は、その活動の幅を伝えています。
残された舞台から、その歌声に触れる
今回の訃報をきっかけに初めて名前を知った方には、まず《愛の妙薬》のアディーナや《薔薇の騎士》のゾフィーという役を手がかりに、映像や録音に触れてみることをおすすめします。
長く歌劇場に立ち続けた歌手の歩みをたどると、作品と演奏家が出会い、舞台が受け継がれてきた歴史も見えてきます。ブレーゲンの歌声は、共演者たちとつくった舞台の記憶とともに残っています。
日付の確認と出典
OperaWireの訃報掲載日:2026年10月24日。確認日:2026年10月25日

